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隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

ホテル知夫の里は日本海に囲まれ、自然の作り出した造形美を見渡せる丘の上にあります。来居港より車で約10分、総部屋数が12室、村で唯一のちいさなホテルです。

平木さんの子供の頃からずっと感じていた、村の人たちに「見守られている」という感覚。たくさん助けられているからこそ、今度は自分が「恩返しをしていきたい」と話します。

小さい頃から感じていた、

知夫の人との繋がり

600人の村から学んだコミュニケーション

 

生まれてから中学生時代までを知夫村で過ごしていた時、学校はどんな存在でしたか?

平木:この島には小学校と中学校が同じ建物内にあって、学校というものが一つしかありません。1学年5人程度しかいないので、小学校に行くときも1年生から6年生、いろんな歳の子と通っていて、それが面白かったです。一番印象深いことは、人数が少ないからこそ、みんな仲良しな学校だったということですね。

小さい頃の遊び方も、もちろん都会とは異なりますよね。どのようなことをして遊んでいましたか?

平木:遊び方だったり、山とか海のルールのようなものは、上級生に教えてもらいました。山の中に秘密基地を作ってみたり、海に泳ぎに行ったり。今もとても印象に残っています。自分が教えてもらったことを下の子に教えてあげたりするのも楽しかったです。

子供の時から地域の人とのつながりは濃かったですか?

平木:そうですね。子供の頃からどこに遊びに行っても、いつも『見守られてる』っていう感覚はありました。この島には高校がないので、高校に進学すると必然的に島外に出ることになります。だから子供が少なくて、気にかけてもらえるのかもしれないなと思います。

本土で車関係の設計会社で10年ほど勤めていたとのことですが、社会に出て、島育ちというのが役に立ったという経験はありますか?

平木:島で遊んでいる時に上級生が下級生にいろいろ教えていたのと同じような感覚で、先輩後輩の関係が楽でした。この島では、おじいちゃんやおばあちゃんとか、歳の差が大きい付き合いも多いので、結構歳上の人とか、上司とも平気で話せていたのかなと思います。逆に歳が離れている方がやりやすかったりもしました。

隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

知夫を再確認、やっぱりほっとする

 

高校生になるときに島外へ出て、順調のように感じますが、何か島に戻るきっかけはあったのですか?

平木:中学を卒業してすぐ島を出てるので、寂しさみたいなものがずっとあって。「知夫村ってどうだったか、改めて確認したいな」って思って帰ってきました。せっかく自分の生まれた島なのにいない時間が長かったから、もうちょっと自分の島にいたいなっていう感じですね。

久しぶりに知夫村に戻って来たときはどんな気持ちでしたか?

平木:帰ってきた当時は「とにかく楽しもう」って思っていました。でも、島外で長く生活していたし、もし自分と合わなかったら、また島を出ようかなと思ってたんです。だけどいざ帰ってきたら安心するところがあったり、ほっとすることが多くて、やっぱり合っているんだなって思いました。

隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

U ターンして感じる知夫村

「やっぱり、いいな」

ホテルでの接客は、思ったより楽しい

5年前に知夫村に帰ってきたとのことですが、その時からホテル知夫の里で勤めているんですか?

平木:いえ、戻ってきた当時は知夫村で仕事の募集が少なかったので、隣の西ノ島の郵便局で働いていました。内航船で通勤していたので、知夫村には帰ってきたような…そうでないような感じでした。笑

実はホテル知夫の里で勤め始めたのは、たまたま空きが出たからなんです。

ホテル知夫の里ではどのようなお仕事をされているのですか?

平木:基本的にはフロントの仕事をしていて、お客様のチェックイン・チェックアウトの対応をしています。ただ、ここはちいさなホテルで、たくさん人を雇う余裕もないので、お部屋の掃除とか、お食事の支度とか、なんでもしますね。

隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

ホテルでの業務は、本土でされていた車の設計とはかなり異なるかと思うのですが、大変ではないですか?

平木:思ったより、接客業が楽しかったです。元々パソコンばかり見ている仕事だったので、初めはちょっと抵抗がありました。でも、5年前の郵便局でお客さまの対応に慣れていたのが良かったんだと思います。あとはやっぱり地元なので村民との繋がりも結構あって、楽しく働かせてもらっていますね。

接客が特に楽しいと感じる時は、お客様とどのように関わる時ですか?

ホールスタッフとして食事の用意をすることもあるんですけど、知夫あるあるを話したりするんですよ。「知夫の学校は一階が職員室、二階が小学校、三階が中学校になっています。中学生になっても階が上がるだけなので、小学校の卒業式は全く悲しくないんです。」って話をすると、面白いね~って言ってもらえたりします。普通じゃないところが楽しんでもらえるポイントみたいです。笑

隠岐ユネスコ世界ジオパークでもある知夫里島は自然の魅力もたくさんあると思うのですが、平木さんの一推しスポットはどこですか?

平木:おすすめはやっぱり赤壁ですね。本当に鼓動を感じるというか…地球が生きている感じがすごく伝わってくるんです。そして自分たちは、その地球に住んでいるんだなというのを感じるので、赤壁は絶対見ていただきたいですね。

隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

本土とは違う、地元の良さを感じる日常

数十年ぶりに帰ってきて感じる、地元の良さはどこにあるのでしょうか?

平木:やっぱり人がいつも見てくれているなっていう安心感はあります。全く関わりがない人でも、困った時には自分から頼まなくても助けてくれることがよくあります。

例えば、ここ最近では旬のたけのこをホテルの食事に使おうと思った時に感じました。地元の人に相談すると「うちの山にいっぱいあるから、勝手にとっていきな」って言ってもらえたんです。そういったところでも村民の人情は感じますね。お客様には「これ、僕が山に登ってとってきたたけのこなんですよ」と伝えて、会話のきっかけにもなったりしますしね。笑

本土とは違う、地元の良さを感じる日常

大自然に囲まれた知夫里島だと思うのですが、普段の生活はどうですか。

平木:癒しになるし、やっぱり自然っていいなと感じたり…。フッと振り返った時の景色や夕日も、本当に美しくて毎日のように感動します。ホテルの目の前に海が広がっているので、部屋の掃除とかして汗だくになったら、休憩中に海に入ったりもします。シャワー感覚で。笑

海に囲まれた島だとそんな生活もできるんですね。子供の頃からそうだったんですか?

平木:ずっとそういう生活をしていましたね。部活が終わったらそのまま海に行ってました。笑 ただ、小さい頃とは違う部分もあるんです。昔は観光地でもある赤ハゲ山に、野ダイコンの花が今の10倍くらい咲いていて、すごく綺麗だった記憶が頭に焼きついています。それが年々減ってきてしまっているので、種を撒いたりして、綺麗な景色を守っていけたらと思っているんです。

観光客の方も、村の方も寄りたくなるホテルに

初めて来た方に、異世界の景色を味わってもらいたい

今後ホテル知夫の里は観光面で、どのような場所にしていきたいと考えているのでょうか?

平木:お客様が増えてきているので、知夫に初めて来た方でもここで過ごす時間を楽しんでもらえる、そんな場所にしたいです。最近では知夫の自然をダイナミックに感じられるよう、客室をリニューアルしたんです。本当に美しくて、僕も掃除の合間にぼーっとすることもありますし。海や自然の景色をみながら部屋でゆっくり過ごすのもいいと思いますよ。

知夫里島に初めて来る方に紹介したいポイントは、やはり島ならではの大自然でしょうか?

平木:やっぱり、そうですね。観光で来た方の中には「日本っぽくない」っておっしゃる方もいるんです。本土とは景色が全然違うので、その魅力を最大限に活かしていきたいと思っています。夜は駐車場のライトをわざと消して、星が見えるようにしています。知夫村は夜になると本当に真っ暗なので、都会では信じられないくらい星がたくさん見えるんですよ。

隠岐諸島の南端に位置する人口600人ほどの小さな島、知夫里島に生まれて中学生までを村で過ごした平木さん。島外に出て車の設計関係の仕事をしていましたが、2018年に20代で島に帰って来てからは「ホテル知夫の里(社名:知夫里島開発株式会社)」で働いています。

村の人たちも来たくなる、憩いの場にするために

 

ホテルは村の人にとって、どのような存在でありたいですか?

平木:村の人たちがちょっと寄りたくなるような、また来たくなるような、そんな「憩いの場所」にしたいです。村の皆さんにはすごく助けられて支えてもらっているという感覚があるので、その分をお返しできたらなと思っています。そこで、例えばふらっとお茶しに来たりとか、お風呂に入りに来たりとか、気兼ねなくホテルに来れるような施策を進めているんです。

具体的には、ホテルからの景色で季節を感じられたら皆さん喜ぶかなと思って、春に向けて桜の苗木を植えました。大浴場からの景色もすごく良いので、村の方々も入れるようにしたいなと思います。

今後の進化に期待を高める「ホテル知夫の里」の目指すものはなんですか?

平木:「観光の方が喜ぶこと」と「村の人が喜ぶこと」、両方やりたいんです。そういう場所を目指して、みんなで試行錯誤しながら話し合ったりしています。だからこのホテル知夫の里をより良くしていけるような仲間が、知夫村に来てくれたらいいな、と思いますね。

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